知恵の木

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新人編集者時代に私が先輩から聞いた話では、柔道整復師はその名のとおり、「柔道」と関係しています。

柔道には関節技があるので、関節が外れることがよくあります。

そのため、柔道を行っている人は自分で関節がはめられる技術を持つようになったのだと。

柔道に限らず、スポーツや交通事故で骨折や脱臼などが起こることは珍しくありません。

関節や筋肉の状態を整えて、元の状態に戻す施術を行うのが柔道整復師の仕事という内容でした(以上は古い話で記憶違いもあるはずので、専門家の方は間違いを指摘してください)。


昔は柔道整復師の治療院に「ほねつぎ」という看板が出ていて、THE 手技という印象を勝手に持っていました。

それが今はテーピングや電気治療が主流だと、ある柔道整復師が話していました。

そのほか、鍼灸師の資格も持っていたり、理学療法的な要素を盛り込んだり、柔道整復師にもいろいろな治療スタイルがあるようです。


ここまで読んで、「柔道整復師って何?」「治療院なら全部、マッサージが受けられるんでしょ?」と思った人が多いのではないでしょうか。


治療家には国家資格を持つ人と持たない人がいます。

冒頭で紹介した柔道整復師は国家資格。「接骨院」「整骨院」という名称で開業しているケースがよく見受けられます。

加えて鍼灸師(はり師、きゅう師)も国家資格で「鍼灸治療院」を開いていることが多いと言えます。


□治療院の名称と国家資格との対応

「鍼灸治療院」…鍼灸師(はり師、きゅう師) 針やお灸を使って「気」の流れを整えて体を本来の健康な状態に戻す

「接骨院」「整骨院」…柔道整復師 関節や筋肉の状態を整えて元の状態に戻す施術を行う

「整体院」「マッサージサロン」「カイロプラクティック」「リフレクソロジー」「アロママッサージ」など…日本の国家資格は必要ない


あん摩マッサージ指圧師は国家資格ですが、私の21年間の仕事経験では、この資格を単独で取得して店などを開いているケースはありませんでした。

※同様に、理学療法士も国家資格ですが、整形外科のリハビリテーションを担当している人が多いという印象です。


治療院から話は反れますが、病名を診断する資格があるのは医師だけです。

新人編集者時代に叩き込まれたのですが、「診療(診断+治療)」という言葉を使っていいのは医師だけで、その他の資格の人には「治療」という言葉を使います。

「柔道整復師として患者さんを診療しています」はNG。


国家資格によって使う言葉にも線引きがあるのは、それだけ専門知識に差があるということでしょう。

医師になるためには、基本的に6年間医学部で勉強する必要があります。

鍼灸師や柔道整復師などは、3年間専門学校で勉強する必要があります。

どちらも、国家試験に合格して初めて、資格が得られるわけです。


国家資格を持たない人物が、病名を診断したり、危険な施術を行ったりするケースは珍しくありません。

赤ちゃんの首をひねることを「施術」と呼んで1回1万円を受け取っていた人物(逮捕後、有罪判決)は、やはり国家資格を持っていませんでした。

また、1型糖尿病の小学生が、自称・祈祷師の男からインスリン投与を中断させられて、亡くなる事件がありました。

専門知識があれば絶対に行わないこと、あるいは怖くてとてもできないことを、知識のない素人は平気でやってしまう可能性は非常に高いと、私は思います。


ただし、国家資格があれば安全かつ治療効果が高い、持っていなければ危険かつ治療効果が低いという単純な話ではありません。

リフレクソロジー(反射療法)などで非常に高い効果が得られた例などをいくつか知っているからです。


国家資格の有無は問わず、以下のような治療院に行きたくないと、私は個人的に思っています。

●自分の資格を逸脱した言動を取っている(医師ではないのに「椎間板ヘルニアです」と患者に言う、鍼灸師ではないのにお灸を他人に据える、など)

●「これさえ行っていれば大丈夫」「どんな病気や症状にも効く」などと言っている

●副作用や問題点がないと言っている

●「××先生にしかできない治療なのです」「ゴッドハンド」「▽の生まれ変わり」などと、施術者があたかも人知を超えた能力の持ち主のように、権威づけている

●世間一般の治療法と比べて、施術料や商品価格が非常に高い

●科学的な言葉を羅列しているが、根拠がない

●セカンドオピニオンを否定する

●先祖・神様・前世・カルマ・因縁・家相・悪霊・悪魔・宇宙人などを持ち出して脅す(頻出ワードは「祟られている」「呪われている」「波動」など)

●体調が悪化したと訴えるクライアントに対して、「好転反応」と説明する


市川駅の近くには、たくさんの治療院があります。

どんな資格を持っているのか、どんな内容の治療を行っているのか、どんな治療スタイルなのかを治療院のスタッフに聞いたうえで、今の自分の状態に合っているかどうかを判断すると、お金も労力も無駄にしないで済むと思います。

もちろん、「スタッフとの会話が楽しい」「スタッフの顔を見るだけで元気になる」という理由で治療院に通ってもいいでしょう。

結局、人を癒すのは人ですね。