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■代替医療で赤ちゃんや子どもの命を失わないためにお伝えしいこと 「ずんずん運動」の問題点

赤ちゃんの夜泣きや皮膚炎などで悩んでいるお父さん、お母さんにお伝えしたいことがあります。

私たちは気力・体力を消耗しているとき、「○○はなんにでも効きます!」「夜泣きも皮膚炎も、すべて改善します」という単純明快な言葉に強い魅力を感じてしまいます。

しかし、逆に警戒してください。

赤ちゃんの体は取り返しのできないダメージを受け、一度失われた生命は元どおりにはできないのですから。


核家族化が進んだ今の日本では、おばあちゃんなど親類の手を借りずに、夫婦2人で子育てをしているケースは少なくありません。

初めて子育てする親にとって、乳児がどんな成長段階にあるかを判断するのは困難です。

その子が成長すれば自然と治まっていく症状でも、「今、なんとかできないものか」と親は焦り、もがくのではないでしょうか。

そんなときに「夜泣きやアトピーを改善する、すごい先生がいる」と聞くと、すがる思いで子どもを連れて行っても不思議ではありません。

そんな「すごい先生」が、新潟県上越市にあったNPO法人「子育て支援ひろばキッズスタディオン」の姫川尚美元理事長だったのだと思います。

「ずんずん運動」とは、姫川元理事長が施術・指導していた手法です。

乳幼児を揺すったり、体をひねったりするずんずん運動で、乳幼児の免疫力が高まって夜泣きやアトピー性皮膚炎、便秘などが改善すると宣伝していたようです。

ずんずん運動で乳幼児が死亡し、昨年の裁判で姫川元理事長は有罪判決を受けています。

 

私自身、子どもが乳幼児だった頃に、夜泣きと皮膚炎でとても悩みました。

 

夜泣きは、子どもが生後3カ月くらいで始まりました。

初めて経験したときは「この子になにか異常がある」と私は焦りました。抱っこしてあやしても、火がついたように泣き続けるからです。

真夜中でしたが、夫を起こして急いで着替え、子どもを抱いて救急病院に走って行きました。

ところが、当時住んでいたマンションを出て、100メートルくらい走ったところで、けろっと泣きやんだのです。

「え~っ!!」夫も私もぐったりしました。

その夜からほぼ毎日、子どもが夜泣き。

マンションの隣人の迷惑にならないよう、夫婦あるいは夫だけで、深夜に子どもを抱っこして、泣きやむまで近所を徘徊していました。

真冬も真夏も関係ありません。

夜泣きは3歳くらいまで続いたように記憶しています。

 

子どもが夜に泣くので、当然、私たちは眠れません。

睡眠不足で、気力も体力も消耗していました。

そんな経験をしていたので、姫川元理事長を頼ってしまった方の気持ちがわかると同時に、姫川元理事長に対して憤りを感じています。

「ずんずん運動」の事件で、私が問題だと思うのでは、以下の3点です。

■「自律神経」「免疫」という言葉が、どんな意味で使われたのか

■本を出版し、その本を医学部教授が監修することは、どんな意味を持ったのか

■無資格者を取り締まれば、このような事件は再発しないのか

 

「自律神経」「免疫」という言葉が
どんな意味で使われたのか

 

素人ほど

簡単に説明してしまう

近年になって「自律神経」が注目されています。

頭痛、うつから、めまい、肩こり、便秘まで、非常に多くの不調が自律神経の乱れが原因としてメディアで取り上げられてます。

こうして「自律神経」が、素人でも医学的知識があるように見せられる、便利な言葉になりました。

ですから、子育て教室やエステ、整体などで、「自律神経のバランスを整える」とうたっていたら、「なにを根拠にしているのか?」と警戒してください。

 

多くの場合、自律神経は次のように説明されます。

「意思とは無関係に、血圧や内臓の動きなどをコントロールする神経。心身が活動するときに優位になる交感神経と、休息するときに優位になる副交感神経から成る」

実際は、こんな簡単な理屈ではなさそうです。

 

私が取材した医学博士(元大学学長)は、「交感神経と副交感神経がシーソーのようにバランスを取っているわけではないようです。交感神経と副交感神経は、2台の車が正反対のほうに進んで、綱引きしている感じがしますね。それぞれにアクセル・ブレーキの働きがあり、細かく制御されています」と、自律神経について話していました。

もう1人の先生(医師)は、交感神経と副交感神経を、長年連れ添った夫婦にたとえていました。

交感神経がぐんと優位になると、それに従って副交感神経も働くようになるとのこと。

副交感神経だけを働かせるということはないという話でした。

 

このように研究者でも自律神経への見解が分かれています。

ところが素人は、研究者でもよくわかっていないことを簡単に説明する傾向があるのです。

 

「○○はなんにでも効きます!」

と言う人ほど危ない

「ずんずん運動」を施術した姫川元理事長は、「姫川裕理」という名前で『子育ての免疫学』という本を出版しています。

また、過去にはある石けんのコマーシャルで、「肌の自己免疫力を高める」などとうたわれていました。

免疫のシステムはあまりにも難解なのですが、「免疫」も素人が使いたがる言葉です。

 

『子育ての免疫学』。

免疫については、自己(自分の体にもともとある細胞など)と非自己(自分の体の外から入ってきた病原体など)」を区別して非自己をやっつける仕組み。

その仕組みがどのように行われているのかを解明するのが免疫学。

子育ては、言葉どおり、子どもを育てていくことなので、『子育ての免疫学』というタイトルは日本語として変です。

そのくせ、どことなく医学的見識があるような雰囲気が出ています。

 

「自律神経」「免疫」を強く押し出して、医師や研究者ではない人が健康法その他を勧めてくるときは、用心してください。

そのような人は、自分でもわかっていない用字用語を使うことで、自身を権威づけようとしているからです。

 

もう1つ、姫川元理事長は「対面抱っこさえしていれば子どもはきちんと育つ」的な発言をしていたようです。

「○○はなんにでも効きます」「これさえしていればいいのです」と言う人ほど危険です。

 

私たちの体は、そんなに単純なものではありません。

『生物と無生物のあいだ』(著/福岡伸一)のプロローグには以下の文があります。

―――

生命というあり方には、パーツが張り合わされて作られるプログラムのようなアナロジーでは説明不可能な重要な特性が存在している。

―――

福岡氏は、ノックアウトマウスを使った研究を経て、このような考えを持つようになったようです。

 

研究をすればするほど簡単に説明できなくなるのが、生命が宿る私たちの体なのかもしれません。


本を出版し、その本を医学部教授が監修することは
どんな意味を持ったのか

 

本を出版することで 

著者がブランド化される

姫川元理事長の『子育ての免疫学』は、当時は国立大学医学部教授だった免疫学者が監修しました。

本の最後に、姫川元理事長と教授の対談があります。

 

著作を持っている人に対して、多くの人が「本まで出しているのだから、すばらしい専門家なのだろう」と思うのではないでしょうか。

そのことを逆手に取ったビジネスが「企業出版」だと私は考えます。

 

1冊の本を作成するのに、必要となる原稿枚数はおよそ300枚。

そんな分量の原稿を書けない人でも、お金を出せば、出版社サイドが原稿書きのライター・編集者を用意し、さらには販売促進部門が書店に営業をかけ、新聞広告を大きく打ちます。

その本が10万部を売り上げると、「10万部の著者」として箔がつくというわけです。

 

以上のように、広告ビジネスとしての出版物が存在するのです。

 

「無責任と言われるかもしれないが

思い出せない」と話す監修者

本の監修者の中には、中身をほとんど把握せずに名前を貸している人がいます。

 

とある高名な、著書も多い国立医大名誉教授が、薬事法違反(無許可販売ほう助)の疑いで書類送検されたことがあります。

健康食品の広告に、コメントを寄せていたのです。

 

同様に、私立大学名誉教授が、やはり薬事法違反(承認前医薬品の広告など)の疑いで書類送検されました。

こちらは、健康食品について書かれた本を監修していました。

 

この私立大学名誉教授の「無責任と言われるかもしれないが、思い出せない」という談話が新聞に掲載されていました。

私立大学名誉教授は、医学博士は持っていたものの、元は工学部の教授でした。

その私立大学には医学部もあります。

「○○大学名誉教授」という肩書で医学系の記事があると、多くの人は「医学部の教授だったのだろう」とつい勘違いしてしまうのではないでしょうか。

 

私個人の見解ですが、医師や大学教授、研究者は、著名になればなるほど、その名前を利用したいとさまざまな人が群がってきます。

一緒に食事などをして親しくなってくると、「ちょっとコメントしてくれないか」「対談してくれないか」的なお願いがあるのではないでしょうか。

例えば、大学教授と対談している人を見ると、その人が大学教授と同等の立場にあるような錯覚が生じます。

結果として、大学教授と同等の権威づけができるのです。

 

『子育ての免疫学』がどんな経緯で出版されたのか、私は知りません。

ただ、医学者・治療家として素人の姫川元理事長の権威と信頼を高めるのに、この本はかなり役立ったことでしょう。

 

無資格者を取り締まれば
このような事件は再発しないのか

 

イギリスやドイツなどで

代替医療は盛んに研究されている

私の印象ですが、高齢化で現役を長く続ける医師や鍼灸師が増えているのでしょうか、医院、鍼灸院、接骨院などが増えている感じがします。

診療や施術で健康保険が使える場合もあり、大金を払ったり長時間待ったりしなくても、医師や鍼灸師などの診療・治療は受けられるのではないでしょうか。

 

しかし、アロママッサージやリフレクソロジーなど、国家資格を必要としない施術を行うお店も増えています。

これは、医師や鍼灸師などの診療・治療では満足できない、あるいは症状が改善しない例があるからかもしれません。ニーズがあるから、増えているわけです。

 

アロママッサージやリフレクソロジーなどは、「代替医療」というジャンルに入ります。

代替医療に対して「トンデモ健康法」などと小馬鹿にしたような見方をする人は少なくありません。

しかし、イギリスやドイツ、アメリカでは代替医療の研究が進んでいるそうです。

健康保険の適用になっている療法や、大学病院で用いられている療法も多いと、東京大学医学部付属病院の勤務医に聞きました。

この医師のグループは、代替医療の勉強をしながら可能性を探る活動をしています。

問題の本質は

国家資格の有無ではない

2013年に、姫川元理事長の施術を受けた1歳10カ月の男児が死亡していたとのこと。

不起訴処分だったそうですが、この時点で、姫川元理事長本人と周囲のスタッフが、ずんずん運動には危険性があるから改良などが必要だと考える必要があったはずです。

しかし、姫川元理事長は、夜泣きやアトピー性皮膚炎などの子どもたち、そしてその親たちのためではなく、「私のずんずん運動はすばらしい」というプライドやおごり、不勉強、無知で施術していたのでしょう。

 

姫川元理事長が起こした事件については、患者やその家族のために施術したか体を治したいと思って観察・研究をし続けたか、という点に問題があるのではないでしょうか。

 

医師や鍼灸師などの国家資格の有無は、それほど関係はありません。

プライド・おごり・無知、さらには金銭欲がある人が診療・治療を行うと、同様の事件は再発すると私は思っています。

 

姫川元理事長のような人とそうでない人とをどうやって見分ければいいのでしょうか。

まず、以下の条件に当てはまる人は危ないです。

●「これさえ行っていれば大丈夫」「どんな病気や症状にも効く」などと口にする

●市場価格とかけ離れた、非常に高い金額を要求する

●まったく理屈がない(「ゴッドハンド」「奇跡の~」など)

 

「著書がある」「医師や研究者などと仲がよい」「医学的な用語をたくさん使う」は、安心できる条件ではありません。

こうした外的な条件を気にするよりも、お父さんとお母さんの気力・体力を高めて判断力を養いましょう。

なにかにすがりたくなったら「私たちはがんばり過ぎて、ちょっと疲れているんだな」と思ってください。

「大丈夫なの?」「育て方の問題なんじゃないの?」などと口うるさい人がいたら、「この人自身、なにか不安を抱えているから、私たちに口出しするのだろう」と判断してください。

 

特に出産後のお母さんは精神的に不安定で、肉体的に疲れていますが、体のケアと、無理をしない生活術で軽減できると私は考えます。

体を整えると心も整っていきます。

 

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赤ちゃんの入浴は「当然やるべきケア」と考えられがちですが、皮膚をお湯に漬けて石けんで洗うことはバリア機能を低下させます。

「当然やるべきケア」を見直すことは、お父さん、お母さんの心身の負担を減らし、赤ちゃんにとってもプラスになる可能性があります。



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