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みる わかる 伝える 畑村洋太郎 講談社

伝わらない理由が
具体的にわかる

 私が作文教室を開くうえで大切なポイントが『みる わかる 伝える』には書いてあると思いました。そこで、私なりにこの本を要約しました。

第1部 「みる」編
●みる1 「みる」ことから始まる
現地に足を運んでそこにいる人から話を聞き、現物を見たり触れたりすることが「みる」基本。単なる知識ではなく、実感としてしてわかるようになること。目的意識を持って行動し、実際の体験の中で、自分で感じたり主体的に考えることが大切。

●みる2 視点を持つ
視点を一つだけにせず、いくつか持つようにすれば、全体を細かく調べなくてもかなり正確に「みる」ことができる。しらみつぶしに調べてできるデータは膨大で、自己満足は得られても、似たようなデータばかりで理解が困難。結局役に立たない。自分なりの視点を持つこと。視点が間違っていたら、視点を変えればよい。視点が欠けていたら、対象を正確に把握できない。

●みる3 視点を変える
同じものを観察していても、視点を変えることで違ったものに見えることがある。企画などを考えるときには「人」「モノ」「金」「時間」の四つの視点が基本。
人…個人、組織、気分、性質
モノ…衣食住、エネルギー
金…儲かるか儲からないか、高いか安いか

時間 時間の経過で変化する状況、熟成、劣化
「群盲象をなでる」とは、対象の一部分だけを見て、全体としてどうなっているかを把握していないこと。一部分だけから全体像を作り上げようとすると、実態と大きくかけ離れてしまう。

●みる4 みえなくなるとき
人間には「見たくないものは見えない」という性質がある。そのため、大きな失敗には必ず予兆があるのに、そのサインを受け取れないことがある。対象を見るときに重要なのは、自分なりの視点を持ちつつも、柔軟に見る方向を変えること。
対象を正しく見ることができないもう一つの原因は、その場の空気や雰囲気、文化、なれ合い、仲間意識。こうした「気」の存在を意識して、その栄光を排除すると何が見えてくるかを自分で考える。

●みる5 逆演算でみてみよう
逆演算とは、決められた定式やシナリオ、時間の進行とは逆に、結果からさかのぼること。順演算では気づかない問題があぶり出される。

●みる6 時間軸を加えて立体的にみてみよう
歴史を知り過去の事件などと照らし合わせることで、目の前の景色が立体的に見えてくる。さらに将来起こりそうなことを想像することで、大きな過ちを防げる場合もある。

みる7 条件を変えるとどうなるか頭の中でみる
さまざまなシミュレーションを行う「仮想演習」で、臨機応変に動くことができる。また、自分なりの新しい視点に気づくことができ、人生を豊かなものにできる。

第2部 「わかる」編
●わかる1 世の中は要素と構造でできている
世の中にあるものや出来事は、いくつかの「要素」が絡み合う形で、「構造」をつくりだしている。
例えば、おいしい天ぷらそばの要素は、エビ、そば、器、店の技術、気の利いたサービス。「器に入ったエビの天ぷらとそば」を「そばが伸びないようにさっと提供する」ことがおいしい天ぷらそばの構造。

●わかる2 「わかる」ということ
「わかる」とは、目の前のものや出来事が、自分の頭の中の要素や構造と一致することである。
要素の一致…頭の中にある要素と目の前のものや出来事が一致すること
構造の一致…頭の中にある構造と目の前のものや出来事が一致すること。例えば、野球のチームプレーやマネージメントと会社組織の構造が一致すること
新たなテンプレートの構築…要素も構造も一致しないためにわからない場合に、目の前のものや出来事を理解しようと試みること


●わかる3 現象の理解
世の中のほとんどのものは常に変化している。これをまずは静止させた状態で考える。次に要素を取り出して、どんな構造なのかを考える。こうしてモデルを作ったら、試しに動かしてみて、再検討を繰り返す。
初めて出合う課題は、モデルを作って試行錯誤を繰り返すが、何度か経験したことはモデルを作らなくても変化しているものを理解できる。これが「直観」である。ちなみに「直感」は「なんとなくそう思える」程度で論理的な説明ができないので、「直観」とは異なる。

●わかる4 行動してみないとわからない
「知っている」と「わかった」はまったく違う。
「知っている」は理論を得ただけの状態で現場で役に立たない。実際に現場で自分が作業し、体験して、行動・結果・理論の3つを理解して初めて「わかった」ことになる。理論だけの評論家は課題を解決しないし、経験至上主義者は状況の変化に対応できない。

●わかる5 わかるためには「アクティブ学習」しかない
学校で通常行われている授業のほとんどはパッシブ(受動的)学習なので、知識がバラバラに入ってきて構造化されにくい。アクティブ(能動的)学習は、知識が与えられる前に行動をし、経験を通じて知識を吸収する。その結果、新しいものを作り出したり問題解決ができたりするようになる。

●わかる6 真の科学的理解をめざす
「真の科学的理解」とは、要素の摘出と構造化を通じて目の前のものや現象の状態を正確に知り、現象の因果関係を正しく理解すること。現象のモデルを作ることができること。条件変化による現象の変化を予測できること。予期せぬ事態にも正しく対応できること。
行動→成功or失敗→体感・実感+知識・経験・思考→わかるための動作(観察→要素の摘出→構造化→試動→検証)

●わかる7 自分の尺度を持とう
対象を厳密にではなくても、量や大きさなどとして数量的に把握する。そのために自分なりの物差しを持つ
髪の毛の太さ=直径0.1mm
1円玉=直径2cm、
手のひらの幅=約20cm
大股の幅=80~90cm
開いた手の長さ=身長
鶏卵=約50g

●わかる8 わかりやすさに騙されない
「わかったつもり」という大きな落とし穴がある。ウソをもっともらしく見せるために詐欺師は「わかりやすい説明」をするので注意が必要。
落とし穴の例…「形式論理」 「AならB」「BならC」→「AならC」 本当は部分的にしか成り立たない
落とし穴の例…「詭弁の論理」 特殊な条件下でしか成り立たない「A→B」を別の条件下でも成り立つように説明する、部分的にしか成り立たないことが全体でも成り立つように説明する


●わかる9 わかっていたつもりの世界
「思いこみ」と「思いちがい」で、わかったつもりになる。老害にならないよう、年を取るほど注意が必要。
「思いこみ」…「A→B」がいつも成立すると端から信じていること
「思いちがい」…事実を知らず、事実でないことを信じている状態


●わかる10 わかる人はアナロジーを使っている
アナロジーを使うということは「似ているものから類推する」ということ。すでに知っているものから、具体的なもの(属性)を削ぎ落としたうえで理解する(「上位概念」に登って理解する)。アナロジーを使うと、ものに対してなにが本当に求められている機能なのかを知ることができる。
例 スパゲティ、そば→粉を原料にしたひも状の食べ物

●わかる11 具体の世界・抽象の世界
「上位概念」が抽象の世界で、下位概念が具象の世界。抽象の世界では、一般的な知見が得られる。本やネットで得られるのは一般的な知見。一般的な知見に体感・実感を通して具体的な制約を付け加えると、具体策を作れる。
抽象の世界における見方の例 「東京在住の60歳代の男性」→「男性」→「人間」→「生物」
具象の世界における見方の例 「名前は畑村洋太郎、身長182センチ、67歳の男性で東京在住……」


●わかる12 暗黙知を知ろう
「暗黙知」は、言葉や文字として表には出てこないが当たり前のことして知られている知識。行動するときには、暗黙知の存在を意識する必要がある。

第3部 「伝える」編
●伝える1 なぜ伝えようとしても伝わらないか
ここでは、「伝える」中身は知識ということが前提。
うまく伝わらないパターン 要素が一致しない場合、構造が一致しない場合、新たなテンプレートが作られていない場合

●伝える2 「伝える」とはどういうことか
「どう伝える」よりも「相手にちゃんと伝わったかどうか」が大事。伝える手段を充実させるよりも、本当に伝わったかどうかをきちんと見守る。伝わっていないときは助言する。伝える人は、伝えた相手に実際にやらせて、頭の中に入ったことを吐き出させる(アクティブ学習)。

●伝える3 伝える場合・伝えない場合
外部から伝えられたものを自分たちが取り入れるときに、なにかが取り除かれたり、なにかが付け加えられたりすることが必ず起こる。外部から伝えられたもののオリジナルの知識を正しく伝えなければ、大きなトラブルが起こることがある。

●伝える4 ベストの伝え方はむしり取らせる
伝える側の人間は、相手が知識を欲しくなる状況を作るようにする。相手が本当に必要だと思ったときに「この知識が欲しい」と、知識を受けいれる素地ができる。理想の知識伝達は、相手が与えられるのではなく、相手がむしり取ること。
相手が新人だったら、まず仕事をやらせてみる。なぜ失敗したのか、どんな点が欠けていたのかを相手に考えさせ、必要に応じて教える。

●伝える5 何が伝達に必要か-知識化と必要な記述
「知識化」とは、上位概念、つまりは抽象の世界に上ること。「原因→行動→結果」を簡単な言葉、文、絵にすること。
人間は自分とは関係がないと思っているものには興味を示さないが、身近な問題として感じるものからは積極的に学ぼうとする。

●伝える6 マニュアルの問題点を知っておく
マニュアルには必ず形骸化するという問題点がある。マニュアルのメリットは、効率的で便利なこと。デメリットは、マニュアル以外のことを「やってはいけない」「試してはいけない」「考えてもいけない」と融通の利かない硬直化したものになること。実情に合わせて見直し、必要に応じて中身を変えていくことが大切。
マニュアルを伝達するには、まず自分自身で考えたマニュアルを作らせること。こうしてできた不完全なマニュアルと、正規のマニュアルとを比較し、何が大事なのかがわかってくる。

●伝える7 文字と絵を組み合わせる
文章と絵を補完し合うような形で使う。
例 料理レシピ

●伝える8 実物で見せる
「百聞は一見に如かず」。

●伝える9 陽の世界だけでは伝わりにくい
世の中のことは「陰」と「陽」で成り立っている。
「陽」 正しいやり方、「~であるはず」「~であるべき」
「陰」 やってはいけないことをやったときに何が起こるか、やるべきことをやらなかったときに何が起こるか


●伝える10 裏図面の必要性
「表図面」 完成した図面
「裏図面」 メモ

●伝える11 個で考え集団で共有する
個人でスタートからゴールまで全体を通して考えた後で、集団で議論をスタートさせる。

●伝える12 共有知へ
個人の知識の共有化を図る→暗黙知を明示知に変換→新たな知識の創造→新たな暗黙知として習得→組織的知識創造